雨乃日珈琲店

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ソウル市内にある学生の街<弘大/ホンデ>エリアにある「雨乃日珈琲店」。

音楽と美術が好きな日本人のご夫妻が営むカフェは、韓国に居るにも関わらず日本に居るような空間で思わず時間を忘れてしまう心地の良い暖かく静かな空間。


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カフェの一角にはオーナーの清水さんセレクトによる韓国・日本のアーティストのCDや、奥様の亜沙子さんセレクトの食器や小物なども販売されています。店頭の看板は書道をされている亜沙子さんによるもので、ハングル表記が無い看板は韓国でも珍しいです。


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2013年12月、私が金 佑龍(☆)という日本で活躍するアーティストのライブをホンデにある「空中キャンプ」と「雨乃日珈琲店」の2ヶ所で企画させて頂いたご縁もあり、お話を色々と伺ってみました。


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S)先ずは清水さんが韓国に来た理由をお伺いします。

清)元々アジアが好きだったんですよ。旅行が好きで大学時代からバックパッカーをしていたんですが、勤めていた会社を辞めて中国、カザフスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン、スリランカ、タイ、ラオスから中国へ戻って…と色々な国を回ってたんです。韓国ってバックパッカーがあんまり行かない国で最初は僕もあまり関心がなかったんですけど、旅行中に韓国人に何人か会ったんです。そして「何だかすごく感覚が日本人と近いな」と感じてホッとしたんですよ。
例えば中国では信号なんか無視して渡ってるんですけど、韓国の人はちゃんと待ってたり(笑)アジアの中でも韓国の人が凄く近い民族に感じたんですよね。で、面白いなと思って、友達も出来て。その韓国人の友達が「韓国語って文法も一緒だし簡単だよ。」って言うんですよ。
「あ、それなら趣味程度にやってみようかな」と思って勉強し始めたら面白くなって。本とか読んで勉強してただけなんですけど「あれ、なんかしゃべれるかもしれない」と思って。そんなことありますよね?


S)ありますね、私も最初は独学でしたので。出来ている気になりますよね(笑)。

清)その旅行が終わって、新大久保にある日本人と韓国人の交流センターみたいな場所に通ってたら、本当は話せていなかったんでしょうけど「あ、なんか話せるなー」と勘違いして、韓国に一週間位旅行しようと思ったんです。行ってみたら面白かったんですよね。
最初に空中キャンプ(☆)に行ったんですよ。行った時はイベントなどはやっていなくてバー営業中だったんですが、初めて行ったのに良くしてくれて色々案内してくれたりして。その感じがすごく良くて。その時は仕事もがっちり決まってなかったし留学でもしようと三ヶ月位の予定で留学してみたら、これは仕事になるなと思って、そのままだいたいこっちにいますね。


S)そのままですか?

清)最初はもともと好きだった韓国情報誌の事務所で働く事になったのですが、その後はフリーランスでライターの仕事をしています。



S)ライターという仕事があるのに、雨乃日珈琲店を作ったのは何故なんですか?

清)ライターをしながら何かやりたいなと考えていたんです。
空中キャンプにいた時はイベントの手伝いとかはしていましたが自分でも何かしたいなって、すごい刺激を受けたんですよね。それと合わせて結婚する事になったので、何か二人で出来ればいいいねっていうところもあって。で、店をやろうかなと。ただ空間ならなんでもいいやという話じゃなくて、日本を紹介する場所がいいなと思ったんですよ。ライターの仕事は基本的に韓国を日本に紹介する仕事ですから今度は日本のものを韓国に紹介したいと思って、その一つとして日本の珈琲を紹介しようと。そしてこういう空間あればイベントも展示も出来るし…という事で始めました。



S)韓国でお店をするのって難しくなかったですか。

清)最初は何も分からないですから難しいかなと思ってたし緊張もしましたけど、やってみれば外国人が日本で始めるより簡単かもしれないです。
不動産にしても例えば日本だと保証人とか色々大変じゃないですか。ここ(現・雨乃日珈琲店)とか現金とパスポート見せて借りれましたし(笑)



S)へえ!なるほどねー(笑)!
最初にイベントやったきっかけになった方は誰なんですか?

清)オープンしようと思ってた日にマイスティースの次松大助さん(☆)が空中キャンプでライブしてたんです。次松さんも既にキャンプには2、3回来ててお会いしたことがあって。韓国にいらっしゃるならうちのオープンに合わせてライブしてくれませんか?って言ったんですよ。そしたら「いいですよ」って、そんな感じで演奏していただきました。
その後、暫くしてノイズのミュージシャンでイベントをやっている方が店によく来るようになって「ライブ企画を一緒にしましょう!」と言ってくれて。願ったり叶ったりで、店始めて半年位から韓国のミュージシャンライブもするようになりました。



S)私、何で雨乃日珈琲を知ったんだろうってずっと考えてて。ミュージシャンのブログなのか、何を検索して出てきたのか思い出せないんですよね。
私が留学中は新村駅近隣に住んでいたので、近くにあるのは知ってたんですけど、いつも空中キャンプで呑みだすとその先まで行けない(笑)。
ホンデって若い子多いし、ごちゃごちゃしたイメージがあって空中キャンプ以外は用事がない限りあまり行かなかったんですよ。

清)ここら辺(ホンデ)面白いですよ。僕は好きなんですよね。店の向かいのライブハウス「サロン・パダピ」も結構ノンジャンルで色んな個性的な人たち出てたり、「ストレンジフルーツ」(☆)とかも最近は面白いイベントを色々やってるし。



S)私もストレンジフルーツは一度ライブ見に行きました。雰囲気も良いですよね。

清)ええ、どこでも友達の友達みたいな感じですぐ仲良くなれる。それがホンデの魅力だな。と思いますね。



S)お店の話に戻りますが、器とか販売されてますがどういった経緯で?

清)それも日本を紹介したいというコンセプトの一つなんですが、金沢の作家さんのものが多いですね。他にも韓国のキムへジョンさんって方がデザインした作品もあります。

亜)これだったらこちらに人にも受け入れられるかなっていうものをセレクトして。前提として使いやすいものですね。

清)元々インテリアとか骨董とかに彼女は興味あって。

亜)気が張らず日常に溶け込みやすいものを選んで置いてます。



S)白い空間にこだわっているようですが、やはりそういうものが映えたり染まりやすかったりを考えて?

亜)そうですね。物が存在感をもって見えますよね。



S)なるほど。
せっかくなので亜沙子さんにもお話を伺いたいのですが、結婚して韓国に来る時はどんな気持ちでした?

亜)勿論、意を決して来ましたよね(笑) 生まれてからずっと金沢にいて他の土地に住んだことなかったので一旦リセットされるというか。一から人間関係きづいたりするのが楽しみでもあり不安でもあったりしたのですが、今はとても楽しいです。



S)言葉への不安は?

亜)ありますね。深いコミュニケーションがまだ出来なくて、相手の思いが聞けなかったり、私が言いたいこと全てが伝えられなくて歯痒い思いもするので、何とか打破しなければと思ってます。



S)ソウルへ来てどの位ですか?住んでみて韓国の面白いとことかありますか?

亜)来たのは1年半前くらいかな。骨董が好きで見て回るんですけど、日本の美しいものの源流を見る事があり興味深いです。



S)確かに素敵な骨董とか多いですよね。
話は変わりますが、日本と韓国ってメディアだけ見てる方にとっては国家間の関係など問題が多いように思われています。
実際ソウルへ住んでいて何か感じたことありますか。

清)一度も差別的な事とかあったことないですね。

S)そうですよね、私も感じたことはないんですけど、良く聞かれるんですよ。「大丈夫なの?」「何が魅力なの?」って。
今から作ろうとしてる私のサイトは今まで「大丈夫なの?」って聞いてき方々に、そんなんじゃないよ。魅力的な街だよって事を知らせたいなという思いもあって。

清)逆に日本の事大好きな人は多いですよね。本屋行ったら日本の漫画ばっかだし日本のデザインやドラマが好きな人も多いし。韓国人って元々外国人に対して優しいんですよ、すごく。むしろ良くしてもらってるように感じます。
お客様も日本語が上手な人が多く、日本語を話したくて店に来られる方も多いし、そういうお客様じゃなくても実は日本語が上手かったとかありますし。過半数ぐらいはしゃべれるんじゃないかって感じます。

S)確かに韓国の人は熱心ですよね。

亜)ホントそう。だって逆はないですよね、日本人で。




S)そうそう。英語も喋れる人は多くないし、外国人に対しては少し不親切な国だなと日本に帰国する旅に特に感じるんですよね。乗り物に乗るにしろ、どっか行くにしろ分かりにくいだろうなあって。

清)個人と個人の間(ま)を空けるのが日本のたしなみかもしれないですけど…韓国の人は道がわからなければそこまで行ってくれるとか、大事な友達が遠方から来てたら「俺が行かなければ!」みたいな熱いところがありますよね。


S)ええ、義理堅くて人懐っこいですよね。
これからの話になりますが、このまま韓国で暮らしていく予定ですか?

清)まだやり残しというか、これからやれる事も、僕らにしか出来ない事も沢山あると思っているので、そうですね。


S)では、これからもライブイベントは続けていかれるんですね。

清)そうですね、自分が好きミュージシャンに声をかける事もあれば、先ほど話した韓国のミュージシャンがブッキングをしてくれたり。



S)(今回私が企画させてもらった)ウリョンもそうでしたが、どうやって韓国でライブしたらいいのか?とか、そういう相談が結構多いんですよね。日本のミュージシャンも韓国のミュージシャンとライブを一緒にやって、それぞれ刺激を与えあったりとかして欲しい。私もソウルでもっとイベントやって行きたいので機会が増えればいいなと思います。
今後とも末長くよろしくお願いします!ありがとうございました。



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雨乃日珈琲店 http://amenohicoffee.blog134.fc2.com/




<金 佑龍/キム・ウリョン>
2002年に3ピースバンド「cutman-booche」を大阪で結成。2011年解散後は本格的にソロ活動を開始。自分のルーツである韓国でライブがしたいと2013年ソウルツアーを決行。2014年6月フィッシュマンズのカヴァー曲「ナイトクルージング」をアナログで発売予定。
http://kim-wooyong.com/


<空中キャンプ>
元々、日本のバンド「フィッシュマンズ」が好きな韓国人のオンラインコミュニティのメンバーが作ったライブスペース。ライブが無い時はバー営業をしている。私も留学時代週1回は一人でふらっと遊びに行っていた大事な場所。
http://kuchu-camp.net/


<次松大助>
1999年、スカバンド「ザ・マイスティース」のボーカルとしデビュー。2009年解散後、現在は独特のピアノ弾き語りスタイルで日本全国でライブを行っている。
http://taisuke-tsugimatsu.jp/home/biography


<ストレンジフルーツ>
ホンデエリアにあるライブスペース&バー。空中キャンプなどとも交流が深く、国内を始め日本人ミュージシャンもライブを行っている。
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